「恐怖症」は特定のもの、あるいは特定の場面に対する恐怖心のことで、 大きく「広場恐怖」 、「社会恐怖」 、「単一恐怖」の3つに分けられます。 単一恐怖というのは、広場恐怖や社会恐怖よりも対象が具体的なもので、たとえば多い順に、動物、嵐、高所、病気、注射などがあげられます。
【診断基準】
1. 特定の対象や状況に対して、理屈に合わない強い恐怖を感じる。
2. ほとんどの場合、すぐに強い不安に襲われ、パニック発作が生じることもある。 本人も頭では、恐怖を感じるようなことではないとわかっているのだが、理屈よりも先に激しい恐怖に 打ち負かされてしまう。
3. 恐怖になる対象や状況を避けているが、強い不安や苦痛を感じながら耐えている。
4. 1〜3のために、日常生活や仕事・学校、対人関係などで支障がある。
5. 18歳未満の場合、6ヶ月以上続いていること。
6. また以下のような疾患では説明されないこと。パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害など。 |
【治療】
通常は行動療法が行われます。ちょっとずつ恐怖をかんじるものを調整しながら暴露を繰り返し、慣れさせていく方法です。その際、リラクセーション法や呼吸法、認知的接近法(患者にその状況が安全であることの理解を強化する方法))を用います。ときにはパニック発作に直接働きかける薬物治療を行うときもあります。
社会恐怖 Social Phobia
社会恐怖は対人恐怖とも呼ばれ、簡単にいうと「よく知らない人たちの 前で食事をしたり、話したり、何らかの行動をすることがこわくてたまらない」
というものです。人の目にさらされたり、注目を浴びたりすることに、非常に
強い恐怖や恥ずかしさを感じてしまうのです(視線恐怖、赤面恐怖、醜形恐怖自己臭恐怖など)。
【診断基準】
1. 人の注目をあびるような状況に激しい恐怖や恥ずかしさを感じるために、 人前に出ることを極端に恐れる。
2.人が集まっているところに出ると強い不安に襲われ、パニック発作を起こす こともある。
3.実際には恐怖は過剰であるり、不合理であると認識している。
4.人が集まっている状況を避け、恐怖に襲われないようにしている。または強い
不安や苦痛を感じながら、そういう状況に耐えている。
5. 人前に出るような状況を避けたり、苦痛に感じたり、あるいは「不安に襲われるのでは ないか」とおびえたりするために、日常生活や仕事、社会活動や対人関係に支障がある。
6. 18歳未満の場合、6ヶ月以上続いていること。
7.また以下のような疾患では説明されないこと。パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害など。
また薬物乱用や、投薬によるものではない。 |
【治療】
行動療法や認知療法と薬物療法が併用されます。薬物としてはベンゾジアゼピン系の薬や選択的セロトニン阻害薬が用いられます。