交流分析の目的は、基本的に、
・自分を理解すること
・他人を理解すること
・自分と他人の関係を理解すること
等を通して、人間関係の動因となる感情動機を理解し、その人の意識や行動の変容を図るものです。
交流分析では自分が表現されている状態を自我状態と呼びます。
自我状態には5つあります。
批判的な親の自我状態(CP) |
批判、非難、叱責などの行動を行う。良心や理想と深く関係する。この自我が強いと威圧的で価値観を押し付けたり命令的、支配的、威圧的になる。弱いと自己主張が弱くなる。
例:理想を持って行動する。 |
保護的な親の自我状態(NP) |
親身になって面倒を見たり温かい言葉をかけたりする保護的、養育的な行動を行っている自我で人間関係の潤滑油的な働きをしている。強い人は人の独立心をうばったり、親切の押し売りとなったりする。弱いと、やさしさや温かみに欠ける。
例:ボランティアなど無償の働きをする。 |
大人の自我状態(A) |
感情的にならず冷静で合理的に行動しているときの自我で、この自我が強いと理性的合理的になり、信頼を得られる反面、人間味が似ないと評価される。弱いと現実を考えない行動をとりやすくなったりする。
例:衝動買いはしない。 |
自由な子供(FC) |
感情的、創造的、無邪気、天真爛漫な部分で好奇心や、創造性の源である。強すぎると現実を十分に考えない自己中心的な行動をし、周りの反発を買いやすい。弱いと自分に対して抑圧的となる。
例:さわいだりはしゃいだりすることが好きだ。 |
順応した子供(AC) |
周囲に人に受け入れてもらおうと自分を押し殺して相手に合わせようという自我。これが強すぎると自分を抑圧してしまい、弱いと自己中心的となりやすく、他人への配慮に欠ける傾向もでる。
例:自分の考えを押し通すことがなかなかできない。 |
自分の自我状態の特徴を分析するためにエゴグラムと呼ばれる質問紙法を用いることが多いです。
「いいたいことをいいますか」「理屈より直感で決めますか」「相手に対して批判的ですか」「思いやりをもって接しますか」などといった質問対して答えて、それを点数化して、グラフにします。それにより自分の自我の特徴をみます。
交流パターン分析
対人関係についての特徴を分析する方法です。
交流パターンには3つあります。Aは大人、Pは親、Cは子供としての自我です。
自我というか簡単にいうと大人っぽい思考、子供っぽい思考と考えればいいです。
1.相補的交流
会話の例をあげると
1)「今何時ですか?」(A→A:親の自我から親の自我に向けて)
2)「今は10時ですよ」(A→A)
1)「今夜のみに行こうぜ」(C→C)
2)「席をとっとくよ」(C→C)
これはA(大人としての自我)同士の会話、C(子供の自我)同士の会話ですよね。こういったお互いが同じ自我で話していると話はずっと続きコミュニケーションは良好です。
要するに気持ちの上で両者とも一致してるということです。
2.交差的交流
1)「ここを教えてほしいのですが」(A→A)
2)「それぐらい自分で調べたら」(P→C)
1)「まったく大人になってまでまんがよんで」(P→P)
2)「漫画もおもしろいものがありますよ」(A→A)
「ここを教えてほしいのですが」というのは、大人の自我で、相手に「はい、いいですよ」という大人の自我を要求していることが考えられます。
しかし相手が返してきた答えは「それぐらい自分で調べたら」というように批判的な親の自我でした。
自分の要求しているものと違います
このように自分が求めている自我と相手が返してくる自我が違うと交流がうまくいかずコミュニケーションは中断されやすくなります。
3. 裏面的交流
1)「今何時ですか?」(A→A)
2)「今は10時ですよ」(A→A) ただし、心の中では「今は忙しいのに自分で時計見ろよ」(P→C)
これは一見、相補的交流ですが内心「今は忙しいのに自分で時計見ろよ」(P→C)と思っています。
このように表面的には話のやりとりは一致してるのですが、心の中では別のことを思っていることを裏面的交流といいます。
コミュニケーションはある程度継続しますが、裏面に隠れたメッセージに気づくとコミュニケーションは途絶えがちになります。
ゲーム分析と脚本分析
裏面的交流の中で、最後には双方とも不快な感情で会話を終えてしまい、繰り返されるパターンをゲームとよんでいます。これは当人にはわからず後になって、「また同じようなことになってしまった」と感じることが多いです。これは暖かい交流をするのが苦手な人が無意識うちに不快でもよいから交流をしようとすることが原因です。
この意識されないパターンは人生の初期に養育者の影響をもとにして自分が決定した、基本的な人間や人生に対する感じ方から生じるとかんがえられ人生脚本とも呼ばれています。対人関係や重要な決断はこれにそって行われるため治療者とともに脚本を分析し気づかなかったパターンに気づき、脚本をかきかえようとすることが脚本分析であり、このことによって治療していきます。
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